2049における早期償還の悲劇。

2049における早期償還の悲劇。

  • 2020年7月11日
  • 2020年6月23日
  • お金

2049における早期償還の悲劇。

ETN投資が危険な一例として、実際に起こった2049の早期償還を解説しましょう。

2049は先ほど出てきたように、野村ホールディングス株式会社の100%子会社であるノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイが、野村ホールディングス株式会社を保証者として発行したNoteで、日々のリターンが短期VIX先物のリターンの-1倍となるように発行されました。

このETNは、2015年の発行から2018年1月までに、価格が4倍となるリターンをたたき出していました。その高リターンの秘密は、VIX先物のカーブの形状にあります。

商品ETFの章で、商品先物のカーブはコンタンゴになりがちだという話をしましたが、VIX先物も2018年1月まではほとんどの日でコンタンゴとなっていました。

その場合、満期が近くづくにつれてカーブに沿って先物価格は減少していくことが期待されるわけですが、2049の場合はVIX先物の日々のリターンのー1倍に連動するインバース型であるため、カーブがコンタンゴである限り、価格は反対に上昇していくことが見込まれるわけです。そしてそのコンタンゴの影響を受けて長らく高リターンをあげていたのです。

ところが、2018年2月5日、アメリカ市場でSなった場合(計算代理人がその単独の裁量により商業上合理的な方法で決定した場合を含む)、自動的に早期償還される」ということになっていました。

計算代理人とは、「発行体との契約に基づき、債券の償還価格およびその決定に関する各種の数値を判断する者」のことを指します。

最終的にノムラは、2049を1144円で強制決済すると発表します。2049は、日本の日付で2月5日には29,400円で取引されていましたから、実に96%超も下げた値で強制決済されたのです。

多くの投資家は、この早期償還条項を十分に理解していませんでした。そこには、投資家自身の責任もあるとはいえ、そもそも2049のようなあまりにもリスクの高い商品を個人投資家向けに上場してよかったのかという問題があります。

実際に米国では、XIVという2049と同様のETNが同時に早期償還されたのですが、発行体であるCreditSuisseは投資家から訴訟を起こされています。

この例では、発行体の財務悪化が原因となって損失につながったというわけではありませんが、結局のところ発行体次第の契約でしかないETNのリスクを表しています。